今回「器」をテーマにするときに、まず思い浮かんだのが有田焼のしん窯の器。私の母がしん窯の「異人さんシリーズ」の大ファンで、私も子供のころから慣れ親しんでいた器です。そんなしん窯さんに、勇気を振りしぼってコラボのお願いをしたところ、快く承諾してくださり今回の商品が生まれました。「青花」の器のように、どことなくユーモラスで愛着のわく表情の異人さんたちをちりばめたシャツを作るためのいちばんの課題は、プリントの版作り。絵面をスキャンしてバンコンに取り込むことから始めるのですが、器はどれも湾曲しておりきれいにスキャンできないため、今回のために陶版という陶のタイルのようなものを作ってもらいました。しん窯さんでは、古陶磁のような独特な色やにじみを表現するために、自社で釉薬や呉須と呼ばれる材料を作っておられます。しかし、それだと生地プリント用のスキャンには向かないので、呉須の濃さや釉薬の種類をわざわざ調整して焼いてくれました。そのおかげでかなり器のような手描きの味わいを残したプリントのシャツに仕上げることができました。