【ミ三3研究レポート】 研究員F
みなさま、ごきげんいかがですか。楽しくておいしいものを探すのが得意な研究員Fが、今回は新潟の「進化し続けるカワイイ伝統菓子・浮き星(うきほし)」を深掘りしてお伝えします!
サクサク食感でほんのり甘い。星のようにカワイイ新潟のお菓子。
実は、100年以上の歴史があるんです。
「浮き星」は、こんぺいとうみたいだけれど、ちょっと違う。「あられ」に砂糖蜜をかけた、新潟の伝統菓子です。そのままポリポリ食べてもいいけれど、お茶、コーヒー、紅茶、炭酸など、飲みものに入れるのがおすすめ!あられのまわりの砂糖蜜が溶けて、飲みものに甘みとフレーバーをつけてくれます。先に浮き星を入れて飲みものを注ぐもよし、後入れもよし。たくさん入れると甘くなりますが、甘みをつけたい場合は、浮き星大さじ1杯くらい入れてもいいと思います。お好みの甘さを見つけてくださいね。さて、では今回は「後入れ」で、紅茶に入れてみます!
ときどき、ゆるくかき混ぜながらワクワク……おおおっ……砂糖蜜が溶けたあられたちが浮かび始めます!(温かい飲みものだと、砂糖蜜が溶けるのが早い)プカプカと浮き上がってくるそのサマは、なんともカワイイ。楽しい。癒されます……さてさて、本題。そのまま食べてもよし、飲みものに浮かべてもよし。新潟の伝統菓子「浮き星」にまつわる物語とは。
125年続く新潟の伝統菓子が
ポップに進化するまでの、ものがたり。
「浮き星」を作っているのは、創業125年の老舗「明治屋ゆか里店」さん。浮き星は、かつては「ゆか里(ゆかり)」という名で、新潟市民に愛された有名な伝統菓子で、多くの菓子店が製造していました。しかし、時代の変化とともに売り場は減少。2015年ごろには、現在の新潟市で「ゆか里」作っているのは「明治屋ゆか里店」さんたった一軒に。一軒と言うか正確には、店主の小林幹生さんたったひとりになっていました……ゆか里、絶滅のピンチ……。そこに登場したのが、地元のクリエイト集団、通称「ヒッコリー」。そのまま姿を消しては大変!と、ゆか里のアップデートを小林さんに提案。小林さんのご厚意のもと、手軽なお土産にもなるようカラフルな色合いの星形の粒をミックスし、パッケージも一新。そして名まえも新しく「浮き星」と名付けられ、ふたたび大人気のお菓子となりました。(上の写真で、お店から外をのぞいているのが、小林さん)
興味津々。「浮き星」はどのように作られるのか
”こんぺいとうみたいだけど、こんぺいとうじゃない”(どっちもカワイイけど!)浮き星は、どのように作られるのでしょうか。左……これが浮き星のまんなかに入っている「あられ」。表面の凹凸は、時間をかけて糖蜜を何層も重ねる、という作り方はこんぺいとうと同じなのですが、浮き星の中心にはお米からできている「あられ」があるので、そのまま食べると食感は「サクサク」とか「ポリポリ」みたいな感じ!
浮き星は、大きな釜で手作業で作られています。時間をかけ少量ずつ、あられに砂糖蜜をまぶしながら釜を回し、釜が回る音を聞き分けて(職人技!)、蜜の量を加減します。
左の写真は、釜を回し始めてから4時間ほど経過したもの。(4時間!)この後もフレーバーをかけたりぐるぐるかき混ぜたり……ひとつのフレーバーを作り始めてから仕上がりまで、作業はなんと合計9時間にもおよびます。(9時間!)つまり浮き星は、1日にひとつのフレーバーしか作れません。時間をかけて、ていねいに作られる浮き星は、まさに職人技が光る一品&逸品。「伝統」のすごさを感じます。感動。
飲みものにキラキラ浮かぶお星さま。
新潟の良さがギュッとつまった、とっておき。
手作りなので、一度に大量生産ができません。実は、ちょっと貴重なお菓子でもあります。だから、みんなでわいわい、ひとりでのんびり……「浮き星」はちょっと特別なときに楽しみたい、とっておきのお菓子かも知れません。パッケージには、新潟県各地の湖や潟に毎冬飛来する白鳥がデザインされています。「浮き星」は、地元新潟を愛する人たちの地元への愛が、たくさんつまっていますね。缶の中には、浮き星の楽しみ方やストーリーがつづられた、小さなお手紙が入っていますよ。(デザインは変更になる場合があります)お楽しみに。
現在の「浮き星」を誕生させた、地元新潟の通称「ヒッコリー」こと「hickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ)」は”日常を楽しもう”をモットーに、様々なモノやコトをクリエイトする集団です。新潟らしい商品の企画、地元商店街や老舗とのコラボ商品などを多数手がける中で出会ったのが、小林さんの作る「ゆか里」だそう。2025年は、浮き星誕生10周年の記念イヤーでした!
【ミ三3研究室 研究員Fより】
新潟市の古町のはしっこで、100年以上前から作られてきた伝統的な新潟のお菓子「ゆか里」。今から十年と少し前、新潟土産として「ゆか里」を販売していた「ヒッコリー(通称)」は、作り手の小林さんと次第に親しくなり、話を聞く機会が何度もあったそう。そして、売り上げが減り後継者もおらず、なくなってしまいそうな「ゆか里」を前に「このままではまずいのでは……?」と感じます。そこで、このお菓子の魅力を多くの人にわかりやすく伝え、買ってもらうことで、後継ぎができるのではないか?と考えました。そうなれば、みんなこの先もずっと、このお菓子を食べることができる!(全員しあわせ) そこで「ヒッコリー」は得意な企画力を生かし、「ゆか里」を変身させ、流通をつくり、全国に発信! そのときに生まれた新しい名まえが「浮き星」。そして10年たった現在、ふたたび人気の伝統菓子になったのでした。伝統菓子だけでなく伝統工芸も同じ。今の食生活やライフスタイルに合わないなど、日本中で「大切にしたいけれど、買うかと言われたら……」というモノはたくさんありますよね。そういうものを、誰かのためだけに残すのではなく、みんながまた「買いたい!」と思うものに(みんなで)アップデートできたら「古くて新しい伝統」として、この先も続いていくのかな(全員しあわせ)と考えたりしています。私にできることは何だろう。

