【ミ三3研究レポート】 研究員F
「お米」が話題にならない日がないほど、「お米」について考えることが増えた昨今。以前にも増して「廃棄米」や「休耕田」などについての記事などを目にすることが多いのではないでしょうか……そんななか、捨てるしかない「廃棄米」を活用したエコフレンドリーな素材・ユニークなものづくりをご紹介します。

新しいテクノロジーから生まれた器【ほわり】
そもそも「廃棄するしかないお米」とは……?「廃棄米」は、災害用の備蓄米が期限切れになり食用に適さなくなったものや、米菓メーカーで発生する破砕米など、飼料としても処理されずに廃棄されてしまうお米のこと。それらを活用し、新しいテクノロジーでプラスティックへとアップサイクルした素材が「ライスレジン」。お米の器【ほわり】は、この「ライスレジン」でできています。


「ライスレジン」は、廃棄されてしまうお米をポリプロピレンと混ぜて作った、お米由来の国産バイオマスプラスティック。【ほわり】の器に使用しているライスレジンには、お米が30%配合されています。開発当初は、ライスレジンの成形に大苦戦。気温や湿度の条件に左右されて安定せず、課題が山盛り。バランスを探りながら何度も試作を繰り返し、構想から1年余りをかけてようやくたどり着いた配合が30%で、結果として器の表面がマットになり、偶然にもお米由来のやさしい風合いが生まれたのだそう!

ユニークな新しい「地産地消」のカタチかも
新潟県燕三条市にある【ほわり】を手がける会社の代表いわく、「米どころの新潟でさえ、高齢化などで米づくりをやめる生産者が後を絶ちません。耕作放棄地が増え、獣害などの問題も発生しています。米由来のバイオマスプラスティックを使ったものづくりが、産地の持続化につながる一助になれば……。新潟に本社を構える企業として、農業・農家支援、フードロスの削減などに貢献したいという想いで取り組んでいます。」とのこと。「ライスレジン」の製造工場があるのは新潟県南魚沼市。その原料となるお米も主に新潟で作られたもの。原材料から製品まで!何から何まで新潟で作られているなんて、最高の(お米の)「地産地消」ではないでしょうか。

【ミ三3研究室 研究員Fより】

日本人の主食であるお米。みんなが十分に食べられる量のお米が、リーズナブルな価格で常に販売されている。お米農家の収入も十分で、なりたいという若者がたくさん。そんな世界は来ないのでしょうか……。米どころ新潟、ものづくりの街・燕三条で誕生し、ここから新たに広がるお米の可能性に注目しつつ……私たちがひとりでできることは何もないかも知れないけれど、せめてもっといろんなことを知り考えてゆかなければ、と思うのです。

今回ご案内している【ほわり】は、美しく洗練されたムードが漂う、ブラック・グレー・ホワイトのモノトーン。スタイリッシュなテイストなのですが、案外どんなメニューも似合います。そしてカッコイイだけじゃない、ちょっとほっこりすることもあるのですよ。黒は目立たないかも知れないけれど、白だとわかるかも……表面の小さな黒い粒のようなものや色むら。もし見つけたら「ラッキー!」と思ってくださいね。プラスティック(原材料)を高温で溶かす過程で”お米の部分”がちょこっと焦げてしまったものなんです。「えええっ!それって、まるで”おこげ”やんか」そう、これこそがお米が入っている証のようなもの。愛おしい。環境にやさしいだけでなく、炊きたてごはんみたいにほわりほんわか使うみんなをやさしい気持ちにする【ほわり】!
想い描く人・作る人・使う人etc.……みんなでSocial Good!なものづくりやお買い物ができたら、しあわせな世界・社会だと思うのです。手にしたモノを通して、作り手側のさまざまな人たちの物語を知って・使って楽しんで・自分なりの社会との関わり方なんかも時々ちょっと考えてみる。そういう暮らしをしてゆきたいと思います。
